このバイクの素性を披露します
私が大学生活のほとんどの時間を過ごした、◎◎大学のオートバイサークル ”ライダーズクラブ”創設者である先輩から聞いた話をまとめますと・・・
○昔、このバイクでコンペ出ていた。
○当時はやりのコンペティションマシンそっくりに自作した。
ということで、詳しくは以下の通り。
①フレームは原型を留めないほど自作した。コンペマシンはこんなフレームだった。
②タンク位置を下げたのでポイントカバーに干渉するところを楕円形に切り欠いた。当時のコンペマシンはこんなタンクだったらしい。確かに昔の写真でこういうタンクを見た気がする。
③シリンダーヘッドはSL200とかTL200とか言ってた。よく分かりません。
④シリンダーはTL200のものをフライスで削って125のストロークに合わせたもの。つまりボアアップ。レストアの際に確認したらTLR200のボアと同一だった。こういう改造も当時はポピュラーだったらしい。シリンダーの排気量の刻印が途中で削られる位にフライス加工。スリーブがとっても薄くなっています。
⑤フロントフォークはエルシノア。
⑥三又のインナーチューブ穴径はエルシノアより直径で2mmほど大きいためアルミの板を介在させて寸法調整している。
⑦サイレンサーは自作。
⑧フライホイールを大きくしているので左側は1CMほど余計に出っ張っている。スペーサーをかませてある。
⑨ブレーキレバー・クラッチレバーはレーサー部品。
⑩フロントスタビライザーも当時のレーサーを真似て自作した。
⑪キーはない。要は、直結状態。キルスイッチもない。エンストさせる。
⑫レギュレータをつけていないので、灯火類はすべて24Vの電球を使っている。
すごい先輩でした。
レストアしているときに分かったことや、自分がしたこと
思い出すままにまとめてみます。斜字タイトルのところは、10数年前に行ったことです。
①燃料コック
燃料コックはTL125のものではなかった。ガソリンが漏れるのでパッキンを購入したが寸法が合わない。ヤフオクで探してみると、スズキのバンバンのものと合いそうなことがわかり、800円くらいで購入し取り付けるとドンピシャ。これで完璧。このバンバンのパッキンはヤフオクで、ある奇特なお方が継続的に供給してくれており、もうひとつ買っちゃいました。今は950円で出品されています(写真)。
②電装系
本当に変わった回路だった。単相交流をウィンカーリレーにつなげていた。これではウィンカーは点滅しないと思うし、実際していなかった。S62の夏を思い出す。回路上も確かに点滅しないわ。それと、ニュートラルランプの電線はクランクケースの取り付け部でぶち切られていた。メータのランプやNランプやウィンカーランプは三つとも配線すらついていなかった。要は、トライアルをするための機能に特化した改造がなされていたということ。
さて、私は既に40歳を越え、今からトライアルをする歳でもないし、もうそんな気力体力はない。だから、街乗り仕様にするため、少なくともウィンカーは直流回路にしないといけない。ならば、レギュレーターとレクチファイヤを。と言いたいところだが、折角だし12V化にしよう。スクーターのレギュレータレクチファイヤをヤフオクでゲット。半波整流なので威力には欠けるが、まあいいか。回路図を全面的に書き直し、直流回路には電源と並列に25V10000μファラッドのコンデンサーを入れて一応平滑化を狙ってみる。回路はほとんどゼロからリニューアルしたと言ってもよいだろう。あ、ヒューズ入れるの忘れた。回路図はこちら・・・。
写真左側のハンドルブラケットについているスイッチは、ヘッドライト用。防水用を10数年前に購入したが、既に頭が破けている。
写真右側中央は原付スクーターのレギュレーターレクチファイヤ。SH634という品物。流用で多用されているものらしい。ジョルノ用です。回路のつなぎ方は、インターネットで山ほどサイトがあるので参考にしました。
③ベアリング類
前後ホイールのベアリングはかなりごろごろしていたため交換した。そのため、今はかなりスムーズ。
④スポーク
前後とも新品を組み込んだ。前後で1万円近くした。初めての作業だったが面白かった。
⑤マフラーとサイレンサーの結合部
これアスベストちゃう?と思しきものだったので、取り外し、ガラスウールと耐熱ガスケットで隙間を埋めた。
⑥エアークリーナ
古いぼろぼろのものが付いていたような気がするが、昔に捨てたので今は何もついていない。つまり、直吸い。始動時にケッチンをくらうと、ここから排ガスが吹き返してくる。これは臭い!何か良いものを付けたいと思っている。
写真で、右下側の丸いやつは、カメラのフィルムケースにコンデンサーを埋め込んでスーパーX漬けにしたもの。元々ここには純正のウィンカーリレーが付いていた。
写真で、左側の灰色の箱は、可変式ウィンカーリレー。もらった時からついていた。ただこのバイアルスは半波整流のバッテリーレスだから灯火つけてブレーキランプでも踏んだら、どんなに早いウィンカー点滅周期にダイヤルを合わせても、もうウィンカーは点滅しません・・・。エンジンの回転数を上げると電力が十分に供給され点滅するので、夜間の右左折時には必然的にエンジンを吹かす必要があります。
⑦スイッチ
メインもキルもない、ってのはどうかな~。ってことで、いずれもヤフオクでゲット。メインはホンダのC100だったかな、キルはCBR250だったかな。ま、なんでも良いわ、安くてそれっぽかったから。特にメインキーなんて、ノーマルっぽくて魅力的。
⑧サイドスタンド
もらったときはスイングアームの右側についていた。トライアルマシンでは良くあるらしい。でも、個人的に好きになれないので、取っ払いそのままになっていた。(だから、いつも壁に寄り掛かっていた!) 左側に溶接してもらって、今に至るが、スタンドの先っぽが右側仕様のため左側につけるとどうも接地面が線になってしまう。スタンドを曲げればいいので、後日。今は、夏場にアスファルトで止めると、アスファルトが思いっきりへこんじゃうほどの線接触です。
⑨ミラー
もらったミラーは小さくて後ろがよく見えないので、ヤフオクで安いそれらしきものをゲット。でも、これも後ろがよく見えない・・・。
⑩パーコレーション対策
これは別のページで詳しく書いています。かなり参りました。
⑪タンク内の錆
10数年前にも、タンク内が錆び錆びだったので、”サンポール”で強力さび取りをした。しかし、廃液をタンクから出したあと中性化しなかったため、再びボロボロに錆びていた。サンポール使ったら、マジックリンで中性化させるのは常識ですよね。そんなの分からずにサンポール使ったらだめです。
今回は、花咲じい、でさび取りしようと5000円も出しました。その結果は、あまりに錆がひどいのでなかなか取れません。どうしようかな、サンポールの奥の手かな。悩んだ挙句、やっぱりサンポールどぶ漬けという強硬策に出ました。結果は、すごいの一言。すごいですサンポール。すっかり錆がなくなってしましました。それで、どぶ漬けから引き揚げると直ぐにまた錆だします。水洗いしているはなからうっすら錆びてくるんですから、参ります。で、マジックリンで中性化し、改めて花咲じいにどぶ漬けし、全面にリン酸皮膜をまとわせて完成です。しか~し!
タンクに水を入れると・・・こりゃシャワーかいな、って具合の穴明きタンクになっていました。写真を撮っていれば、腹抱えて笑えるくらいのシャワー。100を超えるピンホール。泣きそうになりましたが、それを一つ一つ、私ははんだ付けで埋めました。埋めては水を入れ、ぴゅーっつと出ているところに印をつけてはんだ付け。この繰り返しを100回以上繰り返したのです。それでも、ガソリンを入れると、漏れちゃいます。
とどめは、PORのタンクシーラー。2000円くらいの缶を購入し、タンク内にいきわたらせて乾燥。さすがにシーリングできたみたい。それからは順調です。このタンク、シリンダーヘッドの干渉を防ぐための加工をしているため、手放せないのです。そうでなければ、ヤフオクでタンクごとゲットしたいところ。とにかく、直りました。ひとつ気をつけなければいけないのは、サンポールを使ったあと、花咲じいでリン酸皮膜作っても、強力な水流で洗うとその部分だけ皮膜がとれてしまうのか、再び強烈な錆が直ちに発生してしまうことです。リン酸皮膜つくったら、水洗いするにしても、そっと優しくしてあげましょう。これは教訓です。
⑫フロントフォーク
インナーチューブ
もらったものは錆び錆びだったので、八幡の解体屋でJD06のフロントフォーク2本を1万円でゲット。今思っても八幡はぼったくりです。あのおばちゃん、今何しているんやろ?当時はヤフオクなかったので、仕方なく高額を払ったものです。一応、エアアシスト付きの現代のフロントフォークになりました。
三つ又の内径はインナーチューブよりも2mmくらい大きいため、アルミの板を曲げてスペーサーとしてかませていました。これはもらったときからの状態。
アウターチューブ
アウターチューブはエルシノアをそのまま使いました。昔のコンペマシンは、この形の部品だったらしい。インナーの内部部品はもらった時からのものを入れました。一応、しっかり減衰しているので良かろう。オイルシールとダストブーツは当然新品に交換。
⑬クラッチレバー
もらったときのクラッチレバーはレーサー部品だそうで、ミラーを取り付ける穴がない。そこでヤフオクでバイアルス純正品をゲットし、取り付け。レバーはレーサー部品の方が格好良いな。純正品のクラッチケーブルカバーは裂けちゃっていたので、糸で縫い、スーパーXブラックを塗り倒し、繊維強化コーティング。この修理方法は、なかなかお勧め。破れたゴム部品をしっかりとつなぎとめてくれている。
ケーブル類
すべて新品にしました。ブレーキ、メーター、クラッチと。ブレーキケーブルは今では廃番になっているようです。バイアルスのブレーキケーブルのタイコは縦型(普通のタイコは円柱の側面にケーブルが突き刺さっている)であり、円柱の底面にケーブルが付いている。これがバイアルスの特徴とも言える。だから廃番。新品買ってて良かったあ。お陰でブレーキのタッチは最高です。
ブレーキシュー
前後とも当然新品に取り換えています。
⑭フロントストップランプスイッチ
もらった時にはついていなかった。リヤのみついていた。これは危ないので、前にも付けたい。バイアルス純正品をゲットすればよかったのだが、何故かこのレーサー部品を加工したくなった。部品の棚にのこっていたマイクロスイッチ(これ多分昔乗っていたCBR400Fの部品やったんとちゃうかな)をレバーホルダーにねじで固定し、レバーにビスを埋め込み、握ると”かちっ”とマイクロスイッチの音がなるようにした。当然、少しでも握るとストップランプが点灯します。こんなおかしな改造する人はあまり居ないかも。
⑮ハイロー切り替えスイッチ
左のコンビネーションスイッチのところ。ハイロー切り替え部が欠けていた。純正品か何か適当にヤフオクでゲットできそうだが、バイアルスのやれた部品をなんとか使えないかと思案し、セメンダインスーパーXパワーを借りることにした。このボンド、弾性があるため使い易い。樹脂ボードを小さく切り取り、欠けた部分をサンドウィッチしてビス固定するとともに隙間をスーパーXで埋める。そうすると、スーパーXの弾性が奏功していい塩梅にハイロースイッチが切り替わるようになった。なかなか涙ものの修理だった。接点もきれいに仕上げ、いい感じです。
⑯シート
もらった時のシート生地と固い座り心地が、個人的に気に入らなかった。それで、バイク店を物色すると、スクーターのシートカバーが安値で売っていたのでゲット。ついでにホームセンターでスポンジを仕入れて、適当に切り取りボンドで固定。シートカバーをかぶせて、スーパーXで固定した。シートの各アールに沿ってシートカバーをまとわりつけさせるのは大変難しい作業だった。どうしても数か所、皺ができてしまった。スーパーXは使いやすいいいボンドだ!
⑰リアサス
へなへなサスだった。このサスはバイアルスではなく、イーハトーブのもののようだ。でもへなへな。ヤフオクで物色したが、へたっていないものは1万円を超える高値だったのであきらめ、他車の元気のよいサスを移植した。詳しくは別ページにて。なかなか個性的なサスに生まれ変わりました。
このリアサス移植のため、カラー加工用に遂にボール盤購入を決意するなど、結局1万円以上の出費をしたのです・・・。
⑱リアリフレクター
法令で装備が義務付けられている部品です。倉庫に保管していたSR400用と思しきリフレクターを取り付けた。ステーは、もともとバイアルスのどこかについていたものを流用した。さて、どこに付いていたのかな~。10数年たつと、そういう記憶はすっかり消えています。ついでに、小型2輪は前フェンダーに白帯、リアに白△マークを取り付けなければならないのですが、これはまだ実現できていません。
⑲スイングアームピボット部
なんていう部品かな。スイングアームのピボットにはブッシュを囲い込むようなカバーのような部品が左右に付いているが、もらった時にはいずれも付いていなかった。そこで新品を仕入れ取り付けようとしたが、クリアランスの関係で一つしか入らなかった。よって、左右でピボット部の様子が異なっています。自作バイクの名残です。
⑳エンジン内部
いろいろ手をかけました。H20年の作業も交じっています。
・シリンダーホーニング
段付摩耗をしていましたので内燃機屋さんに、すっきり綺麗に研磨してもらいました。
・バルブ擦り合わせ
上の内燃機屋さんで。今なら、自分で出来るけど、その時は自信なかったな。
・バルブステムシール取り換え
若干オイル下がり気味だったので、新品に。インテーク側しかついていないのが不思議。これはH20年にやった作業。取り外したシールは、カチカチになっていてとてもゴムとは思えない白物になっていました。
・サンドブラスト
エンジン外側を全てサンドブラストした。だから綺麗だった(当時は)。今では、すこしやれてきているような。
・キックギヤ取り換え
別のページで詳しく。ボアアップしたTL125のエンジンは必ずキックギヤが欠けるらしい。先輩に話をしたら、そういえば当時のホンダ車は弱かったと思う、という話が帰ってきました。ひょっとして経験済み?
・カムシャフト取り換え
もらった時は、カムシャフトの摺動面に段付摩耗(0.5mmくらい)ができていた。オイル管理が悪かったのかな。あるいはロッカーアームとの当たり面がずれているのかな?それで段付部を削り落した状態でつかっていた。そこでキックギヤが欠けるという事態が訪れ、エンジンをもう一台手に入れることになったことから、そのエンジンの健全なカムシャフトに交換した。段付摩耗ができているということは、その分カムの山が消失しているということだから、パワーダウンだろう。交換したら、ハイカム状態!?なんて期待していたが、その効果は体感では遂に分からないまま今に至る。
(21)ブレーキペダル
これはもらったときからこういう自作もの。ブレーキランプスイッチとの結合部(スプリング)がスイングアームと干渉しているが、動作は問題ないしスプリングもうまい具合(?)に変形してくれていてなじんで(?!)いる。あえてそのままにした。一応、サンポール漬けにしてきれいきれいにしてから塗装。
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